群馬県みなかみ町にある「土合駅(どあいえき)」は、日本でもとてもめずらしい駅です。この駅は「モグラ駅」と呼ばれることもあり、地下深くにホームがあることで知られています。今回は、そんな土合駅の特徴や魅力について、わかりやすく紹介します。
土合駅はどこにある?
土合駅は、群馬県の北部、谷川岳(たにがわだけ)という山のふもとにあります。谷川岳は登山やハイキングで人気のある山で、土合駅は谷川岳に向かう人たちが多く利用しています。ところが、土合駅は日本でもとてもめずらしい駅のひとつで、駅も観光スポットとして人気が高まっています。
なぜ「モグラ駅」と呼ばれるの?
土合駅が「モグラ駅」と呼ばれる理由は、ホームがつくられた場所にひみつがあります。新潟方面に向かう下り線のホームは、地上ではなく、谷川岳の地下につくられました。その深さは、なんと約70メートルもあり、ビルの20階分くらいの高さに相当します。
土合駅の下りホームが地下につくられた理由は、上越線の複線化と深く関係があります。上越線はもともと単線で、土合駅のホームは地上に設置されていました。しかし、1960年代に旅客列車や貨物列車が増加すると、線路を上り線と下り線に分ける「複線化」の工事が進められます。
このとき、新潟方面に向かう下り線に新しく「新清水トンネル」がつくられましたが、トンネルは谷川岳の地下を通るルートとなり、土合駅の下り線ホームはトンネルの中に設置されることになりました。そして、トンネル内の下り線ホームと地上の駅舎は、トンネル工事でつくられた「斜坑(しゃこう)」を活用することになり、462段の階段が設けられました。
こうして全国でも珍しい構造の駅が誕生し、いまでは人気の観光スポットになっています。
土合駅のようす
下り電車を降りると、トンネル内は空気がひんやりとしていることに気がつきます。地下ホームは薄暗く、人が少ないときは音がほとんど聞こえません。まるで別世界に来たようで、ひとりではさみしく感じられるかもしれません。

地下ホームから改札口へ行くには、462段の長い長い階段を上り続けることになります。すべて上りきるには10分以上かかるため、途中には休憩できるベンチが置かれています。階段のわきには湧き水が流れ、まるで地底探検をしているような気分になります。

すべての階段を上りきったとき、山の頂上に登ったときと同じような達成感を味わうことができるでしょう。
上り線のホームは地上にある
土合駅の下り線のホームは地下深くにありますが、高崎方面に向かう上り線のホームは地上にあります。上越線がもともと単線のときの線路が上り線として使われることになり、地上ホームはそのまま上り線のホームとして使われています。

土合駅は自然に囲まれていて、春は新緑、夏は涼しい風、秋は紅葉、冬は雪景色など、季節によってちがう風景を楽しむことができます。近くには谷川岳ロープウェイやキャンプ場もあるので、家族でのお出かけにもぴったりな場所です。
土合駅への行き方
東京方面から土合駅へ行くには、上越新幹線または北陸新幹線で高崎駅で降り、高崎駅から上越線で向かうのがおすすめです。上越線の電車の本数は少ないので、事前に時刻表を調べておきましょう。
●東京方面から
上越新幹線または北陸新幹線に乗り、高崎駅でJR上越線に乗り換え。土合駅の下り線ホーム(地下ホーム)に到着。
●新潟方面から
上越新幹線に乗り、越後湯沢駅でJR上越線に乗り換え。土合駅の上り線ホーム(地上ホーム)に到着。